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深度三,三三糎の心の海から湧き出ずる、逆名(サカナ)のぼやき。
 
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また大河。
今回はちょっと重傷で

五節の舞についてぶつぶつ言いながら見てたら
予告に

古代みづらを結った舞童

が出てきた。
申し上げるまでもなく逆名はみづらが好きです。
いちばん好きなのが下げみづらで
そもそも装束関連のしらべもののおもしろさを知ったのは、舞楽装束からでした。
高校生の時、蘭陵王の資料が欲しくて図書館に行き
「原色日本服飾史」に出逢って
童舞の迦陵と胡蝶に一目惚れをしたのでした。

そういう経緯があるので、童子みづらと古代みづらが
一緒くたにされてしかも童舞に使われるなんて見るに耐えません。
しかも NHK 大河ドラマ で。
別に日本人として常識だとか思っているわけではないけど
辞書を引けば、古代男性のみづらと子どものみづら
別物だというのは載っている事だし ものによればちゃんと図版もあります。
資料がなかったとかで逃げられるようなことでもない。

もうこうなると視聴率の低さが救いです。
とくに舞楽についてあまり御存知でない方には御覧になって欲しくない。
あれが普通だと刷り込まれちゃったらと思うとつらい。


で、ぐるぐるしまくって、でも、逃げたって解決しないからと
みづら祭で今後予定していた「中古小児の髪風」を前倒しにして書くことにしました。
祭の中の流れとしては、同時代のお子さんの髪型の中で、みづらがどういう位置づけであったかを見ていくのが狙い。
というあたり。
で、この作業に取りかかってからはだいぶ棘が抜けて楽になりました。

肝心の記事はまだあと少しというところですがw

お陰さまで、録画でですが舞の部分を見ることができましたw

結果、

童舞じゃなくて、なぜか童舞に似た何かに扮装した滋子だったという…
なんかみづらがどうこうっていう問題じゃなかった。もう。

滋子!!!!
なんで滋子ばっかりこんな目に遭うんですか!?
なんで滋子ばっかりへんなものを着せられるんですか!?
そういう役回りなんですか…(泣)

で、舞なんですが、何かよく解らない杖を持って舞っている。
みたことないけどなんなんだろう、と思ってたら、舞終わって
「大酒飲みが」「彼の国の王がつくった」とか台詞である。
つまりこれって
胡飲酒(こんじゅ)っていう設定なのか。
でもなんか、知ってるものと大分違う………。。。

いや、装束が左舞の色で天冠つけていたから迦陵か、と思ったんだけど、羽はない。
それであと童舞の選択肢としては、陵王や還城楽などの走舞なのか。
童舞で走舞の類を舞うときは、通常つける面や牟子(頭巾)を省略して天冠に代える。
しかし、走舞だとすると、裲襠をつけていないのがおかしい。
(それに裲襠の色や模様で曲目が判断できない)
大体これ、着ている袍自体、舞装束ではない。
似た生地を持ってきてはみたらしいが、文が間違っているし、織模様と刺繍との違いもある。

仕立ても、これは蟻先のある縫腋の袍、衣冠の仕立て。
ふつう舞装束は武官の闕腋の袍に倣ったつくり。雅楽寮の伶人は衛府の官も兼ねる。
辛うじて下襲の裾は引いているけれど…。

大河 平清盛 滋子の胡飲酒

面がなく持物が違って裲襠もないと何が何だかほんとうにわからなくなる。

それでも胡飲酒だという。

でも振りも胡飲酒じゃないよね…。
酔っぱらいの踊りなので、大きく伸びをしたり、おっとっと、てな鷹揚な感じ。
しかし滋子は謎の道路標識を持って、戦時下の御婦人がもんぺ姿で竹槍突いてるような感じ。

それでも設定としてはそうらしい。
『平家物語』延慶本に、
「建春門院崩御の事
 同七月八日、建春門院隠れさせ給ひぬ。御歳三十五。是は贈左大臣時信の御娘なり。法皇の女御、当帝(たうだい)の御母儀(おぼぎ)なり。
 先年不例の時、御願を果たさむとて、御歩行(おんかち)にて御熊野参詣ありけり。四十日に本宮へ詣で着かせ給ひて、権現法楽の為に胡飲酒(こいんじゅ)と云ふ舞をまはせてましましけるに、俄に大雨ふりけれども、舞を止めず、ぬれぬれ舞ひければ、宣旨を反す舞なれば、権現めでさせ給ひけるにや、忽ちに天晴れて、さまざまの霊瑞ども有りけり。
 さて、御下向有りて、幾程を経(へ)ずして、去んじ春比より御身の中苦しくして、世中をあぢきなく思し食して、去んぬる六月十日、院号御辞退あり。今朝に御出家、夕に無常の道に趣き給ふ。院・内の御欺き、何れも愚かならず。天下諒闇(てんがりやうあん)の宣旨を下さる。…」

とあるのを引いてきたらしい。そういえば雨も降ってた。ご覧のように滋子が亡くなるすぐ前のお話。
滋子もう死ぬのか。そんなわけないな。またいい加減に話をちぎってきたらしい。
病をおして参詣して舞って霊験があったっていう話が意味を成さず、
胡飲酒とも思えないものに成り果てている。
滋子を舞わせたかっただけっていうのなら、頼むから装束くらいきちんとしてあげて。
ていうか、別にコスプレなんかさせなくても、普通に女装束で舞の振りしただけかもしれんのに
わざわざなんで童舞にしたん?
現行舞楽で童舞を女性が舞っている写真みていけるとでも思ったの?
しかもそういう写真、目にしているならなんでみづらが古代?

しかし、この舞装束、一回きりの使用かどうかはわかりませんが
またかなり良い生地を無駄遣い。
生地にこだわる前にもうすこし見た目のそれらしさを着にしなよ。
普通ドラマとか舞台用とか、逆じゃないですか??生地より仕立てや着付け優先にならない?
というか、世の中にはレンタルとかも存在するわけでして。
一回こっきりなら借りて来たらいいのに、本物を。
雅楽会だっていくつもあるのに。
何で専門家の意見を聞かないんだろう。
部活ノリで内輪でキャアキャアいいながら楽しくやってる空気を大人に邪魔されたくないんでしょうか?



ふう…。
うーん、まだ愚痴続くので、あとは「つづき」にw

あとは…
こちらに出しそびれていたシロモノをw
八大童子より
高野の秘宝 八大童子立像(運慶作)より 美髪さんカモンッ!!!
矜羯羅(こんがら)童子さんと恵光(えこう)童子さんの二尊です。
あーこのくるくる、このくるくるとはねはねですよw
被髪がめずらしかった時代になんだなんだこの造形は!!
運慶さんは未来志向すぎる!!時空を飛び越えてる!!
くるくるさんなんて、どこのバー●ビー・ブル●クスJr.だよというね…。
それにしても、元ネタの方は復元色で塗るんじゃなかったかな!!とちょっと後悔!
ふくふくむちむちだw つくりがリアルすぎてww
ほんとに誰の意向なんですかこれ、さすが高野六十那智八十ですねとかいうオチですか!?


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最近、拍手ボタン押して頂けることが多くて嬉しいですありがとうございます。
お礼画面に個人的萌絵ばかり仕込んであるのでお嫌いな方には返って御不快だったかとも思いますが(汗

コメントを頂戴していますので、ここでお返しさせて頂きます。
**********************

◆> 07/28 08:20 【色々勉強に…】 さま。 ありがとうございます。もっと精進いたします!

◆> 08/05 18:31 【『左記』序文へコメント頂いた方】 左記序文についてはいづれ訳も載せようかと思っていますが、本文の方には序文のような内容が見られず(散逸か)儀式次第ばかりになるので、今のところ公開は考えておりません。

◆> 08/14 15:51 【すてきな…】さま。 お気に召したなら光栄です!

◆> 08/16 20:50 【おさげもみづらで良い.んですね..】さま。 今は髪が長いのは女性という風になっていますしね。ただ、首の後ろでなく耳の上で結ぶって言うのはちょっと不思議ではありますよね。

◆> 08/16 20:42 【角髪ってこんなに長い.んですね..】さま。 長いのです。びっくりですよね。人によっては重かったろうなあと思います。

◆> 08/22 15:14 【昨日、ツイッターでご挨拶...】さま。 うぉ~~!!こちらへも御言葉ありがとうございます!(///) どこかにはそういう方もいらっしゃるはずだと思って書いていましたので、実際みづら愛に溢れた方にかまっていただけるともう感無量であります!みづら!ラブ!




うーん、あと他。
清盛が自分何歳か忘れてて慌てる盛国と時子
年明けに歯固めの餅50個喰ったのこいつ忘れてるんだ
盛国と時子は清盛が耄碌したかと一瞬ひやっとしたに違いない。

ヒビキさんが御賀に難癖をつけにきた。
こういう、
「武士は花鳥風月がわからない」VS「貴族は遊びにしか興味ない」みたいな図式自体
陳腐というか、いつの時代の価値観なんだろうと思う。
返礼で舞ったり(ふつうに日舞だったね。舞としてはきれいだったけど)
歌詠んだりしていたが、武官にとって楽舞は嗜みというよりも、お仕事だし
鳥羽院の頃から北面歌合が開催されたりしていたよ。
みやびごとが高踏的で優雅なお遊びに見えるのは文治制度ということを知らないからだろう。
歴史的に見て、為政者の文化的水準がここまで低くなったのは最近のこと
武家政権であってもトップは高い教養を備えていなくてはいけなかった。
それぞれに文化があったからその摩擦はあるけれど、教養の高さ自体は誉れであって
それが「文化系ってやだね」で一刀両断にされるのはちょっとつらい。
まあ、武士が主人公だから貴族はあほの子に描きたいんだろうけど…。


夕日がもどる話。
清盛の威勢を表す寓話として有名なのが、招日扇。
元ネタが舞楽蘭陵王や『淮南子』魯陽公の記事にあることが指摘されている。
(※「羅生門の鬼」(島津久基/東洋文庫)より)

こういう怪異や霊威の話を、仏教的な因縁話とか全部取っ払って、
不思議現象だけ持って来ようとするから、盛り上がらないでサラッと終わっていく。
自分を含めて、ネタ知ってる人が反応して得意がるだけで、そうじゃない視聴者はそりゃ、キョトーンだよ…。
このドラマのつくり、大体そうだけど。

『平家物語』は、説話的な要素が濃い作品だなんてことは今更言う必要もない。
仏の利生がいかに偉大か、因果はいかにして報いられるか、
それを説く為にも誇張表現がなされている。
霊験に際しての聴衆の大袈裟な反応とか(当時は当然の反応だったのかも知れないが)、
ケレン一杯の舞台効果的なさまざまな奇瑞とか、それは説話物のひとつの醍醐味でもある。
いや、『あった』。かつてはそうだった。
それを嘘くさいと片付けて、悪びれもせずに削るくらいなら、最初から夕日なんか返さなきゃいいんだよ。
別に、信仰がなければ宗教を書けないってことはないと思う。
ただ想像力が欠如してるっていうだけのことじゃないかなあ。


私は歴史にはまる切っ掛けは平家物語、古典だったので、
フィクションはフィクションだと思っています。
大河が特別なのは、綿密な時代考証を売りにしてきたからだけれど、それでも創作は創作。
今回の大河についても、こんなに資料と違うから、うそだからと否定して、
誰かを打ち負かしたり、何かを証明したりしたいわけではありません。

ただただ、
フィクションなのに美しくもかっこよくもないまぬけな格好がいやなんだ。
でもそのまぬけさがさっぱり理解できてない=装束の知識というか、そもそもイメージが白紙状態?
ってことなんだから、そこを指摘せさるを得ないというだけで、
好き嫌いの問題じゃねえかと言われたら、そうですよ??
ただただ、
とことん好みが合わないからこんなにきらいなんだっていう話です。

うーん、なんというか、あれを純粋に楽しんで御覧になっておいでの方が羨ましい。
皮肉ではなくてこんなにつっかからずに素直に平家ものを楽しめたらいいのになあと、己の狭量さが恨めしい。
やれやれ。
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管理人紹介
HN:逆名[サカナ]
HP漁屋無縁堂

無駄と斑の腐渣。
らくがきと調べ物が趣味の
風俗文化史好き歴史オタク。
人物志より文化史寄り。
イチ推しはみづら
(美豆良/鬟/鬢頬/総角)。

中古日本史、東洋史、仏教史(仏教東漸期の東アジア、平安密教、仏教芸能、美術、門跡寺院制度等)、有職故実、官職制度、風俗諸相、男色史。古典文学、絵巻物、拾遺・説話物。

好きな渡来僧:婆羅門僧正菩提僊那、林邑僧仏哲
好きな法皇:宇多法皇
好きな法親王:紫金臺寺御室、北院御室
好きな平氏:重盛、経盛、敦盛
好きな法衣:裘代五条袈裟
好きな御衣:御引直衣
好きな:挿頭花と老懸を付けた巻纓冠
好きな結髪:貴種童子の下げみずら
好きな童装束:半尻、童水干
好きな幼名:真魚(空海さん)
好きな舞楽:陵王、迦陵頻、胡蝶
好きな琵琶:青山、玄象
好きな:青葉、葉二
好きな仏像:普賢・文殊(童形)はじめ菩薩以下明王、天部、飛天(瓔珞天衣持物好き)

やまとことばも漢語も好き。
活字・漫画・ゲーム等、偏食気味雑食。

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