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深度三,三三糎の心の海から湧き出ずる毒ぼやきの数々。
 
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全日本及び三千世界のみづら愛好家の皆様こんにちは。
只今みづら祭を開催中です。
 
今回は、埴輪みづらを描いてみよう!その3。
『種々(くさぐさ)の埴輪美豆良』をお送り致します。
 
【序】にて、古代みづらに以下のような種別を付けましたが、
これに沿って埴輪の髪型をピックアップしてみました。
古代のあげみずらさげみずら
 
 
(1)■上げ美豆良(附、下げ美豆良丙)

耳の横で髻(もとどり)を結い、
輪にしたり折り込むなどして元結で留め結び、髷の上下を突出させる形。
kusagusanohaniwa_01.jpg

古代みづらの代名詞とも言える髪型ですが、
埴輪で見てみると、必ずしも多数派というわけではないようです。
 
 ・小さくて簡素なもの(農夫や馬飼等とされる)
 ・大きく長く装飾的なもの(権力者や武人とされる)
 
とに分けることが出来ます。
…これ、兜?部分をすごく適当に描いてしまった(上に何かが混じった)のですが、
実際は本当にどうなっていたんでしょうね…。
よく見ると、下の部分は毛先が露出しているようにも見えます。

 また、造形の上で、顔の両脇に二つ山(分銅形)になったパーツを付けるものと、ただ四角をくっつけただけのものとがあり、ここでは、四角をひとつ髷…言うなれば上だけ美豆良?に見立ててみました。
もうひとつ、《下げ美豆良・丙》にあたるもの、上げ美豆良下部から毛先を垂下する形も、
他に例を見付けられなかったので、これに当てはめてみました。
うーーん…。これはちょっと無理矢理な気もしますが。
(もし下げ美豆良丙を結っていると思しき埴輪を御存知の方がいらっしゃいましたら、筆者までお知らせ頂ければ幸いです)
 
 
(2)■下げ美豆良・甲

髻をつくり、一度垂らした髪を上げて、毛先を巻き込んで結う、あるいは、何回か輪を作って結うもの。

種々の埴輪みずら ~下げ美豆良(1)

上げ美豆良よりもむしろこちらの方が例としては多いような気がします。
長さ、大きさ、結い方も様々。
大概が盛装あるいは武装なので、階級は上の方であろうと思われます。
 
形としては、結い上げる方法によって、
 
 ・髻周辺だけを結い、涙型に垂れているもの
 ・元結の紐を長く巻き付け、棒状にしてあるもの(椎髻/ついきつ)
 
などがあります。
埴輪によっては、ありがたいことに、結ぶ紐まで丁寧に形作られているので
これによって結い方のひとつをうかがい知ることが出来ます。
 
さらに、
 
 ・後頭部に束髪(或はもうひとつ髷をつくる)する形
 ・頭頂部で振り分けた前髪を表現した形
 
も、出土例があります。
ただ、後頭部束髪については、手元に集めた資料の中に埴輪の後ろ姿を見られる図版が少なく、
どれくらいの埴輪がこういった形をとっているのかは、確認できませんでした。
 
 …振分髪、でこですねw
下の方はかなり好き放題になってます…
 
ところで、王冠を付けてあぐらをかいているような形の埴輪。
衣の模様が、水玉に見えますが…。
…これを描いてみる勇気はありませんでしたw
 
 
(3)■下げ美豆良・乙

顔の両脇に髻をつくり、髪を長く垂下させる形。いわゆる、おさげ髪。

種々の埴輪みずら ~下げ美豆良(2)
 
 ・ほぼ無造作に束ねて垂らしているもの
 ・結紐を巻き付けており、甲型に似るが、毛先を露出しているように見えるもの
 
を持ってきてみました。
上の図では顔に丹(赤土)を塗りつけていますが、刺青とは違うようです。
刺青をした埴輪も見つかっていますが、それらは丹を塗るのではなく、顔面に直接彫りを入れて模様を刻み込んでいるので、区別がつきます。
『以朱丹塗其體、如中国用粉也。』[魏志/東夷傳/倭人]
 
ところで、
分銅形でも輪状でもないのに、みづらと呼べるのでしょうか?
実は、これら埴輪の髪型を『美豆良』とする根拠もである、古事記や日本書紀には、
 
『故刺左之御美豆良湯津津間櫛之男柱一箇取闕而。(中略)…亦刺其右御美豆良之湯津津間櫛引闕而。』
 [古事記/黄泉津比良坂の場面]
『巳而素戔鳴尊含其左髻所纒五百箇御統之瓊。』[日本書紀/神代紀]
 
 などとあって、左右に分けていることが知られるだけで、結い上げた形にまで言及はありません。
 つまり、左右二つ分けにさえしていれば、『美豆良』の要件は満たしていることになります。
 というわけで、おさげもみづらです。
 
 
おまけ■女性の埴輪
 
美豆良に絞って見てきたので女性の話題には触れていませんが
せっかくなので。

種々の埴輪みずら ~おまけ・女性埴輪
 
女性の髪型は、いわゆる「古墳島田」です。
後世の島田髷に似ているので、こう呼ばれます。
埴輪の造形としては、厚みのある板を頭の上に載せているような形が多いようです。
女性の埴輪は殆どが巫女のようで、基本的な要素も大概共通しています。
 
ところでこちらは特定の埴輪をモデルに描いたわけではなかったのですが
描いたあとに、なんとなく雰囲気の似た巫女埴輪の写真と遭遇したので入れてみました。
険しい表情……。
 
なお、額に巻いているのは「日陰鬘(ひかげのかずら)」というシダ科の植物です。
髪に植物を纏いたり挿したりすることについては、また回を設けたいと思います。

 
■まとめ
 
 
埴輪の美豆良とモデルの階級について、今回扱った資料の範囲内ですが、おおむね2説あるようです。

▲『美豆良の大きいものは上層階級』
▲『上げ美豆良は下層、下げ美豆良は上層階級』


というものです。
 
 前者は、盛装埴輪の多くが肩に届くほど、或はそれ以上に長く、美豆良を垂れていることから、容易に肯定できます。
ただ、製作上デフォルメが加えていること等も考慮に入れなければならず、
例えば、美豆良の大小比較によって厳密に地位の高低を計ることなどは困難だと思われます。
 
 後者について、確かに、馬曳、牛飼など職能民?とされる埴輪は、小さく簡素な上げ美豆良に結っていることが多いようです。
 活動的に生活していただろう彼等の美豆良が、簡便の用から何度も折り返して小さくまとめられ、上げ美豆良の形になるのは必然のことでしょう。
 位置から考えても、長くふっさりと美豆良を垂れていると、顔を勢いよく振るだけで痛いことになりそうです。
 しかし、支配階級と思しき様相の個体にも、上げ美豆良を結ったものが存在するため、必ずしもこうであるとは言い切れません。
 上げ美豆良か否か(上方への突起が有るか無いか)というよりも、
 むしろ、下垂部分の大小長短、結い方の装飾性を見るべきではないでしょうか。
 (つまり結局は前者と同じということになる)


 埴輪を見てみづらの様子を想像するのはとても楽しい作業でしたが、ともすれば妄想があっちこっち暴走してしまうので控えめにしておくのが大変でした(漏れてるけど)
 ただ、帽子や兜、頭巾の類は、『どうしろと!?』というものが多く、そもそも材質が何であるか、帽子なのか兜なのか、いやもしかしてこれは固めて盛ったアップヘア…とさえ思えるものもあり、結局、筆者の力不足から多くを割愛してしまいました。悔やまれるところです。
 凡てのタイプの埴輪みづらを網羅しているとは言い難いですが、
とりあえずはざっと概観できたのでは いや、埴輪好きの方にはお叱りを受けそうですが。
 次回からは古墳時代から時を下っていきますが、
もしおもしろいみづらの埴輪があれば、また絵を描いてみたいな、なんて思っています。



おまけのボツ絵。

ボツみずら
みづら祭に古代みずらのことも書いてみよう、と決めたあたりに描いたもので
そのあと、埴輪とにらめっこすることを思いついたので、こちらはボツになりました。
正直、それ耳だろうって思う埴輪もありますよね。

初期鷹匠埴輪
だいぶ前に描いた鷹匠。
衣袴の初描きです。一応刀の柄とか凝ってみています。
籠手なしで鷹と戯れるのは痛そうです。


◆◇みづら祭の目次はこちら◇◆
 
参考資料:
「日本結髪全史」(江馬務/東京創元社)
「日本の美術23 結髪と装飾」(至文堂)
「ものが語る考古学シリーズ(6) 人物はにわの世界」(稲村繁、森昭/同成社)
「人物埴輪の文化史的研究」(塚田良道/雄山閣)
「もっと知りたい はにわの世界~古代社会からのメッセージ」(若狭徹/東京美術)
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無駄と斑の腐渣。はぐれ腐。
らくがきと調べ物が趣味の
古典寄り歴史ヲタク。

中古日本史、東洋史、仏教史(仏教東漸期の東アジア、平安密教、仏教芸能、美術、門跡寺院制度等)、有職故実、官職制度、風俗諸相、男色史。古典文学、絵巻物、拾遺・説話物。

好きな渡来僧:婆羅門僧正菩提僊那、林邑僧仏哲
好きな法皇:宇多法皇
好きな法親王:紫金臺寺御室、北院御室
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やまとことばも漢語も好き。
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