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深度三,三三糎の心の海から湧き出ずる、逆名(サカナ)のぼやき。
 
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110404_153249.JPG『…すがる娘子(ヲトメ)の その姿(カホ)の 端正(キラキラ)しきに
花の如(ゴト) 咲(エ)みて立てれば…』[万葉集9-1738]

『咲』という字は、実は『笑』の古字で、
上の長歌に見られるような『咲(エ)む』『咲(ワラ)う』という用法が
むしろ本来の字義に適ったものなのですが
中古以降の日本では、専ら『咲(サ)く』という方に使われています。

また、『さく』という、やまとことばは、『割く』『裂く』に通じるといい
パッと破裂するように花がひらく、というイメージを持つようです。
『栗が笑う』という表現も、裂ける、に通じるものですよね)

中国語の辞書を引いてみると、一般的な表現としてはただ『開花』です。
まず漢字が輸入された当初は、この表記をそのまま使用しています。
日本書紀の『木花之耶姫(コノハナノサクヤビメ)』の名や、
万葉集の『~本辺(モトベ)は 馬酔木(アシビ)花開(サ)き~』[13-3222]などの歌に見られる
『開(サ)く』は、『咲(サ)く』定着以前の表記の名残なのでしょう。

いつの、どこの誰とも知れないけれど、
歌の心を持ったとある人が
『人が笑むように開く花』を、
あるいは逆に、
『花開くようにうるわしく笑むひと』を、
詩歌につくったのがはじまりなのかもしれない…という妄想…。

おーはなーがわーらったー♪
って歌もありますが
比喩表現がはまりすぎて本義を喰っちゃったんだなあ…。

花が『ひらく』ことを、『わらう』『えむ』と見立てた人がいて、
花が『さく』ということばに、『咲』の字を宛ててみた人がいて、
いいねえ、私も使おう、と思った人がいて、
ずっと使い続けて、肌に馴染んで、意識もしない血肉になって、
わたしたちは、この春も『咲く』花を見ています。

110404_153130.JPG
携帯カメラでもこの空の色。
折角良い天気だったのに、デジカメを忘れたという…。

拙宅周辺は満開が秒読みです。
今年は、北へとのぼっていく桜前線の
背中を追い立てたい気持ちです。
桜が枝一杯に満面の笑みをうかべたら
きっとたくさんの人を笑顔にしてくれますよね。


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HN:逆名[サカナ]
HP漁屋無縁堂

無駄と斑の腐渣。
らくがきと調べ物が趣味の
風俗文化史好き歴史オタク。
人物志より文化史寄り。
イチ推しはみづら
(美豆良/鬟/鬢頬/総角)。

中古日本史、東洋史、仏教史(仏教東漸期の東アジア、平安密教、仏教芸能、美術、門跡寺院制度等)、有職故実、官職制度、風俗諸相、男色史。古典文学、絵巻物、拾遺・説話物。

好きな渡来僧:婆羅門僧正菩提僊那、林邑僧仏哲
好きな法皇:宇多法皇
好きな法親王:紫金臺寺御室、北院御室
好きな平氏:重盛、経盛、敦盛
好きな法衣:裘代五条袈裟
好きな御衣:御引直衣
好きな:挿頭花と老懸を付けた巻纓冠
好きな結髪:貴種童子の下げみずら
好きな童装束:半尻、童水干
好きな幼名:真魚(空海さん)
好きな舞楽:陵王、迦陵頻、胡蝶
好きな琵琶:青山、玄象
好きな:青葉、葉二
好きな仏像:普賢・文殊(童形)はじめ菩薩以下明王、天部、飛天(瓔珞天衣持物好き)

やまとことばも漢語も好き。
活字・漫画・ゲーム等、偏食気味雑食。

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