愛知県陶磁資料館に行って来ました~。
すごい林の中…しかも広い…。敷地も広いが建物も広い。
特別展示は中国古代の明器(副葬品)。
建物や施設、死後の生活に必要な日用品、護衛や従僕や農民、楽人などの俑(人形)、それに家畜など、すべて陶製のミニチュアです。
陶器で作られたものだし、古い者も多くてもの凄く細かい細工とかではなかったのですが、中には入れ子になっている建物もあって、窓から人が顔を出していたりで、全体的ににぎやか。おおらかというかユニークというか。
建物のミニチュアでは、塔が多く展示されていました。空廊で連結した二つの塔とか。楼閣では必ず酒宴が張られてました。榭(物見櫓)の展示が多く、池に見立てた水盆の真ん中に立てられた櫓には、弓を構えた兵がいたり、池には鴨やあひる、蛙や魚がいました。ただ縮尺が結構でかいものもあって、ミニチュアと呼ぶのはなんとなく微妙な気もしないでも…。
穀物を貯蔵する円筒形の倉も多かったです。
さすがというか、食べ物に関するものも多くありました。
井戸はつるべと桶つきのものや、井戸の前に鼈や魚、庖丁などが置かれているものも。
牛の解体場面とか(ひっくり返った牛のそばで庖丁を構えている)もありました。
かまどもありましたが、「おうっ」と思ったのは、串をあぶっている炉…そ、その串にたくさん刺さってるのは蝉ですか!? ふ、副葬品にするほど蝉の串焼きってごちそうだったんでしょうか…。ごちそうでも食べたくないです…。
他に、圏(家畜の囲い)がいくつかあったのですが、羊圏では羊が交尾してるのを羊飼いがやる気なさそうに眺めていたり。のどかですね…。
その後体験コーナーで皿の絵付けにチャレンジー。
消しゴムもUNDOもない状況で絵を描くのはものすごい久々でやたらと緊張しました…。
描き慣れてて、絵皿にしても不審じゃないもの(笑)…ということで胡蝶にしたんですが、描きながら『蝶柄の皿で料理食べたくないな…』と思ってた…なら迦陵(鳥)にすりゃよかったんだけど、尾羽が面倒だったからね!しかし…。筆遣いがめちゃくちゃなのは無理ないが、線がゆがみまくったのは情けないな…。
一緒に行ったハルさんは、さっき見て感激してた空廊つき塔を描いてましたw
藍で書いてるので、絵は焼き上がると青くなるそうです。一ヶ月くらいで焼き上がるので届けて貰う事にしました。
その後、映画「ハプニング」を見に行きました。ノリだけで何の予備知識もなくw
どうなんでしょう…それなりに面白かったような気はしないでもないのですが、ひっかかるというか納得できないというか、明かされない部分が多くてすっきりしませんでした。その分、見た後であれこれと考えさせられたりはします。確かに。
「シックス・センス」の監督だし、敢えて演出や情報量を抑えて、観客に考察を委ねたつくりなんだろうけど、もうすこしヒントがあってもよかったかなあ、という気は…。
アメリカ、NYセントラル・パークで突如として大量死亡事件が発生。
予告映像では、ばたばたと人が倒れるシーンがありますが、あれは編集されてああ見えているだけで、ちょっと印象が違っています。本編では、突然、普通に行動していた人々が静止、その後、自殺行為に走る、という状況。それぞれより手近で確実な方法を選択するようなので、実は死因はまちまち。
その後も、死亡事件は都市部から郊外へ、農村部へと爆発的に範囲を拡大。
解剖結果から、
『天然化合物が原因の神経障害により、自己保存機能が狂い、絶望して、自傷・自殺行為に走る』
というメカニズムはいち早く解明されるが、どうしてそのような事態が突如として起きたのかは不明のまま、対処方法も解らずに避難勧告が出される。
主人公エリオットとその妻アルマ(お約束通り、当初は関係がぎくしゃくしている)と親友ジュリアン(エリオットとジュリアンはそれぞれ科学と数学の高校教師で同僚)とその娘ジェスも、電車に乗って避難することになるのだが、途中で電車は運行停止(鉄道会社が麻痺、連絡しても応答が亡くなる)、ヒッチハイクや徒歩で逃げる事に。その後も徐々に死の影が近付いてくる…。
──というようなお話です。
「つづきを読む」からネタバレ&考察。
「ハプニング」つづき。
電車を降ろされた客たちが小さな食堂でTVにかじりついている。
携帯で妻と連絡をする為にそとに出て行ってしまったので、不安げにしているジェスに、エリオットが話し掛ける。彼は「ムード・リング」(はめた人間の感情によって色が変わるというあれ)を家から持ち出してきていた。それを小道具にジョークを言ってジェスを安心させるエリオット。
電話を終えて、妻を迎えに行くと言い出したジュリアンからジェスを預けられ、三人で逃げることに。
その後、育種家夫妻の車に乗せて貰って逃げる。
この育種家が、大きなヒントをくれた。
『原因は植物だよ。毒素を出して人間を攻撃しているんだ。植物の進化は早い。脅威が迫れば、自身を進化させて相手を攻撃する』そして、『違った種類であっても、植物同士で会話をするんだ』とも。
その頃、ジュリアンは別の車に同乗して妻の居るはずの地を目指していた。すると、並木道に通りかかる。すぐに彼等は異変に気付く。並木の至る所に縊死者がぶら下がっていた。
ジュリアンは、原因物質が空気によって感染するとなんとなく確信していたらしく、すぐに車の窓を閉めるが、天井に張られた幌には穴が…。
直後、車は急停止・急発進して、街路樹に激突。ふらふらと車から出てきたジュリアンも、道に落ちていた破片を拾い、手首にあてた──。
その頃、各方面から逃げてきた人々と行き会い、安全な方向を模索するエリオット。
テロである可能性を考え、道路もなく地図にも載っていない村を目指す為、車を捨てて徒歩で行動。
しかしその集団にも自殺者が出始める。
エリオットはそこである可能性に気付く。
事態は都市部から郊外へと拡大している。つまり、人口の多い方から少ない方へと脅威が広がっていっている。これが植物による攻撃なのだとしたら、人間が集まっていることで植物が驚異と受け取るのではないか…。
というわけで、少人数に分かれて走り出す。
背後から、異様な風音。
エリオットは叫ぶ『風に追いつかれるな!!』
このあたりから、風=『攻撃』らしい、という演出の図式が見えてくる。(風によって原因物質が運ばれてくるのか、植物が会話をしているということなのかは不明)
風が通りすぎた後、抱き合っていた三人は無事だった。
仮説は正しかったのか、確信は得られなかったが、とりあえず逃走を続ける。
親友の娘である少女の為にも、休息を取る必要が出てくる。荒れた一軒家を発見して中を窺ってみると、電気も通っていない、車の轍もない。だが、そこには一人の老婦人が住んでいた。三人は、自給自足で暮らしているらしい偏屈でヒステリックな世捨て人に頼み込んで泊めて貰うことに。
翌朝、エリオットが目覚めるとベッドに一人だった。家の中を歩き回り、アルマとジェス、そして老婦人を捜すエリオット。
主寝室のドアを開け、老婦人のベッドの上に彼が眼にしたものは──少女の人形。
エリオットは『変人だ!』とうめく(まあ確かに人形の顔は怖かったし裸(に見えた)だったし、変人には違いないけど、人の寝室勝手に見ておいてちょっと酷いと思う…)
すると背後に老婦人が現れ、異様な表情で『盗むつもりだな!!』と叫んで怒り狂う。
エリオットはその場を逃げ出して、すぐにここを出よう、とアルマとジェスを探すが見つからない。玄関のドアを開けると、前庭の茂み(畑?)を老婦人がうろうろしながら、ぶつぶつと何か呟いている。風が吹いてきて、エリオットが謝罪を口にすると更に訳の分からない事をわめき散らす。
様子がおかしいと気付いたエリオットは急いで玄関を閉め、窓を閉めて二人を捜し回る。
すると、外壁ゴツッ、ゴツッ、と叩く異音が…。
音は徐々に移動していく。
そして、窓ガラス越しに、無表情に額から血を流す老婆の顔…
頭を壁にぶつけて自殺を図ろうとしているらしい。
ゴツッ、ゴツッ、と嫌な音。
頭突きで割れる窓ガラス。舞い踊るカーテン。
音は止んだ。
「少人数で居れば、大丈夫じゃないのか…? 彼女は一人だったのに…」
打ちのめされるエリオット。
その耳に届く、アルマとジェスの声。エリオットはゆうべ老婦人が話していた事を思い出す。庭の先の離れと母屋の間には、地下に伝声管が埋められているらしかった(昔、逃亡してきた奴隷をかくまった時に使っていたらしい)。
伝声管でアルマに『そこから出ないでくれ』と話し掛けるジェス。
死ぬ前にもう一度逢いたかった、と囁きあうふたり。
持っていたムードリングを見つめるエリオット。それは、二人が出逢ったときに、会話の切っ掛けになったものだった(自宅の二人の写真の前に大事に飾ってあった)。
感極まって、一人で死ぬくらいならひとめ君に逢いたい、これからここを出て行くよと言い出すエリオット。
アルマは静止するが、家を出てくるエリオットの姿を見て、自分もジェスをつれて出て行く。(無謀な夫婦愛に他人様の子供を巻き込むなよ…)
風が吹く庭で抱き合う三人。
静かな表情で家の中へ戻り、肩を寄せ合って座り込む。
──で、いきなり数ヶ月後に飛ぶ。
脅威は去り、三人での新しい暮らしが始まっていた。アルマは妊娠に気付いて恥ずかしそうに夫に告白。
TVでは検証番組が流れていたが、結局、原因は不明のまま。しかしコメンテーターは個人的な見解として、自然が人間を排除しようとしたのだ、とコメント。
司会者は「今回だけのケースでは…もし他にもこういった事態が起きれば、その説も納得できるのですがね」と発言。
その直後、別の国(フランス??)のとある公園で、突然、人々がその場に棒立ちになり──。
劇終。
このように、結局、原因も細かいメカニズムも明瞭にはならないままに終わりました。
演出上も、兆候らしい兆候といえば、風が吹く、植物が風に吹かれて揺れる、というくらいで、植物は巨大化などの変質もしないし、感染?した人たちも、その場に立ち止まり、うつろな眼で一言二言譫言を口にして、無造作に自殺行為をはかる、というふうで、非常に淡々としています。
ちょっとまとめ。
・植物が人間を驚異ととらえ、何らかの物質を発生させた──どのような種の植物によるものか、どのようなかたちでの発生なのかは不明。
・その物質は即効性で、脳神経に作用し、人間の自己保存本能を狂わせ、自殺行為に走らせる。──自己保存本能が狂っても、とりあえず危険回避行動がキャンセルされるだけですぐに自殺に直結するとは思えないのだが、劇中のTVニュースでは『絶望して自殺する』とも言っていたので、さらに精神にも作用し、絶望して『死ななきゃ』という状態に陥る、らしい。
・感染?者は、すぐに行動を停止。無表情、棒立ちになって、人によっては譫言を言い出し(大体、直前の言葉を繰り返すだけ)、唐突に自殺行為に走る。方法は、飛び降り、首吊り、リストカット、拳銃自殺、車で激突、ヘアピンで頸動脈を突く、自分の体を掻きむしる、芝刈り機を作動させて横たわる、頭を壁に打ち付ける、飼育員がライオンの檻に入ってライオンに自分を食べさせる、など、手近な方法がとられる。
・原因物質は空気感染で、風によって運ばれた可能性がある。(即効性があるのは確かだが、空気中に残存する期間などは不明)
・もしくは、風によって飛散するのは植物間の伝達のための物質(毒素を出す為のスイッチ的なもの)で、それを受けた植物が個々に驚異を捉えた場合に毒素?を発生させる。
・人口の多い場所から発生し、少ない場所へと進行。だから、人間が集団でいると驚異と見なされる。少人数でいれば回避できる(エリオットの仮説)ただし、何人までが少人数なのか、集団ごとの安全な距離はどのくらいかなどは不明。
しかしこの仮説は、庭に一人で居た老婆が感染したことで否定された。
では、なぜエリオット達は助かったのか。
すこし無理矢理な感もあるほど挿入されるムードリングの話が鍵なのだとしたら、答えは『感情』にあると考えられる。
・植物は、人間の不安や恐怖や怒りを察知して毒素を発生させる。恐怖や不安がなく、平和で穏やかな心理状態なら植物が反応しない。
もしくは、
・感染しても絶望に陥らない。
である。
要するにエリオット達の場合は『愛』によって救われた。
というちょっと萎えるような結論に達してしまいそうな気がする。
途中で出てきた育種家夫妻は、風の中でお互いの手をぎゅっと握りしめるシーンでフェイドアウトしたので、生きて居るんじゃないかと思う。
その他にも無事だった人たちが出てきていたら、考える材料になるのだけれど、出てこない。偶然の作用によって自殺が未遂に終わった人も居たかも知れないが出てこない。
あと、予告編はふつうにスリラー映画みたいなので、大量死!伝染病?テロ?政治的陰謀?とか、宇宙人の侵略?人智を越えた存在?モンスター?バイオハザード?とか、主人公がそうったものに立ち向かい、原因を究明・解決、という展開を求めると、盛大に肩すかしを食らいますw グロいシーンも想像を超えるようなものはありません。(ただ荒れ家のばあさんが頭をたたきつけてくるあの鈍い音と血だらけの能面顔は強烈…)
殺されるのではなく、自殺、しかも大量に淡々と、というのは、斬新かもという気はします。殺されるより怖いかも知れない。自分を殺そうとする驚異が自分自身だったら、どうやったって逃げられないし。
淡々としているからこそリアリティが感じられる部分もあるし、草刈り機自殺やライオンの檻自殺は、遠目だったり携帯動画だったりで、バッドジョーク映像のようで却ってうすら怖い。
まあ、地上波オンエアにでもなった時にはちょっと見てみてくださいな、という感じです。