いつも拍手ボタンをぽちぽち押して下さってありがとうございます~。
拍手コメントの方で、イラストのなかの装束の文様や色目をどうしているか、について
ご質問を頂きましたので、簡単にお答えしておきます。
有職文、かさねの色目については
【綺陽装束研究所】様が解りやすくご説明下さっています。 http://www.kariginu.jp/
こちらで書籍化されたものもいつも有り難く参考にさせて頂いております。
▲「素晴らしい装束の世界-いまに生きる千年のファッション-」(八条忠基/誠文堂新光社)1995
イラストに使用している有職文の素材も
▲「平安文様素材CD-ROM」(八條忠基/マール社)2009
から選ばせて頂いて、直接使用する事が多いです。
時代や用途別など使用例も書き添えられています。
この中にないもの、自分で素材から作る場合は、装束の写真や図版から書き写したり、
ちょっと古いものになってしまいますが、河出書房新社の文様事典シリーズ
▲「王朝文様事典」(片野孝志/1988)
▲「武家文様事典」(片野孝志/1989)
▲「西陣文様事典」(いとう喜一/1994)
▲「韓国文様事典(林永周、金両基/1988)
▲「中国文様事典」(周燕麗、片野孝志/1991)
などに昔からお世話になっています。
ほか史料としては「後照念院装束抄」「奈留美加多」「織文図会」など。
舞楽装束は
▲「雅楽のデザイン」(多忠麿、林嘉吉/1990)など、
平安時代以前は正倉院裂関係の本を、大判本が多いので図書館頼みです。
古墳時代の絵では、埴輪や装飾古墳壁画の文様を参考にします。
全部手書きで布の皺に沿って描き込んでいければ理想的ですが、
横着をして、規則的に並べたパターンを作ってぺたりと貼り付けたり、
一個の文様を変形させながら貼り付けたりしています。
他、盤領で丸文の場合まず胸の中央にひとつ置いてからそれを基点に規則的に並べていくこと、
有襴の装束のとき襴の文は身頃と向きを90度変えること、
などは気を付けるようにしています。
ちなみに、陵王の装束は以前年賀状用に作った素材を使い回しています…。
かさねの色目については、
▲「かさねの色目─平安の配彩美」(長崎盛輝/京都書院アーツコレクション、現在は青幻舎からの新版有)
▲「日本の色辞典」(吉岡幸雄/紫紅社)2000
▲「王朝のかさね色辞典」(吉岡幸雄/紫紅社)2011
を主な参考資料にさせて頂いています。
ほか
▲「昭和版延喜染鑑』(上村六郎/岩波書店)1986
▲「古代染色二千年の謎とその秘訣」(山崎青樹/美術出版社)2001
また基礎資料として
▲「有職故実図典」「有職故実大辞典」(鈴木敬三/吉川弘文館)
▲「染と織の鑑賞基礎知識」(小笠原小枝/至文堂)1998
など。
他にも良い資料はあるかと思いますが、自分の使用頻度の高いものとしては
このようなところです。
どの色を塗ったら綺麗かというよりも、
どんな色遣いが人物や舞台設定に相応しいかを考える方が好きで、
自前の色彩センスについてはまるで自信がなく、
お褒めを頂戴してしまうのは恐縮です。
当色が決まっている装束の方が楽ができて好きですし、
そのままの配色がいちばん素敵だと思っています。
多色使いより単色の濃淡をつける方が好きで、
衣服の影を塗るのが楽しく、
文様も地文が光の具合で浮かび上がるように描けたらいいなあ、
というのでいつも透かし気味に入れてしまうことが多いです。
というようなところです(^皿^;)